スポンサードリンク


米国の航空宇宙関連企業の代表格であるハネウェル(Honeywell)が、住宅向けの火災報知器事業、温度調整装置のサーモスタット、温度センサ事業やターボチャージャー事業の分社化を2017年に発表しました。
出所:ハネウェル社2017年10月10日プレゼンテーション



ハネウェル社の事業構成の変化

ハネウェル社の事業構成は、大きくエアロスペース、オートメーション&コントロール・ソリューションズ、高機能素材(パフォーマンスマテリアルズ)、セフティ&プロダクティビティソリューションの4部門に分かれます。
今回分社化の対象となるのは、エアロスペース部門の中の輸送機器部門(トランスポーテーション)で、直近約30億ドルの売上のあるターボチャージャー事業と、オートメーション&コントロール・ソリューションズ部門の中の約45億ドルの売上のある住宅向け部門となり、後者の事業部門は、今後商業やオフィースビル向けに特化することになります。
両事業売却後のハネウェル社の売上構成は以下の通りとなります。
図1
出所:ハネウェル社のプレスリリース


ターボチャージャー事業

分社化対象となった、ターボチャージャー事業は、1999年に買収したAlliedSignal(アライドシグナル)のGarrett (ギャレット)ブランドを世界展開しており、ターボチャージャー事業の世界シェアは世界1位となっています。

主に自動車や船舶向けのエンジンで使われていますが、今後の輸送機の動力の脱石化への変化(ガソリン・ディーゼルからより、クリーンな電気や水素などの燃料へ)といった需要減を見込んでの、分社化の決定と思われます。


住宅向け火災報知器や温度調整事業

ハネウェルの火災報知器事業は、こちらも世界シェア1位となっています。
また売却事業に含まれると思われるサーモスタット事業は、ハネウェルの祖業の事業であり、ハネウェルのサーキュレイター(扇風機)とともに、一般の消費者には馴染みのあるブランドとなっています。また、あわせて、上記の商品のディストリビューション事業(ADI)も分社化をします。


分社化の背景

事業が赤字になったから、分社化をするという追い込まれた形の分社化ではなく、同社のプレスリリースにunlocking significant valuesとあるように、両事業の潜在的な価値を最大化するという観点での組織再編のようです。確かに、同社のポートフォリオは、航空機エンジンから扇風機やサーモスタットまで、多岐にわたり、今回分社化する事業も、世界シェア1位の事業が含まれていて、潜在的な価値が埋もれている(コングロマリット・ディスカウント)の状態なのかもしれません。
一方で、ハネウェルの最大の強みである、航空機部品の分野では、最大のライバルであるユナイテッドテクノロジーズ社が離着陸システムや航空機通信システムに強みを持つロックウェルコリンズ社を買収して、航空機部品メーカーとしての規模を拡大し、エアバスやボーイングとの価格競争力を高めようとしています。
一方で、エアバスやボーイングも、新規に発注される航空機のダウンサイジングの影響を受け、航空機エンジンのアフターサービスに参入して、今までは航空機備品メーカーの金城湯地であった航空機の保守、修理、メンテナンスの分野でハネウェルやユナイテッドテクノロジーズ社との競合を始めています。ハネウェル社としては、分社化を経て同分野へのさらなる経営資源の集中を図ることになると思われます。
最後に、アクティビストファンドの代表格であるダン・ローブ氏率いるサードポイントがハネウェル社の大株主となっていることも見逃せません。分社化・再編の背景には、株主からの圧力もあったものと推察されます。