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SGLカーボン
1992年のドイツのSIGRI(シグリ)社と米国のGreat Lakes Carbon(グレート・レイク・カーボン)社の経営統合により誕生。SIGRI(シグリ)社は源流をたどると1878年に設立されたシーメンスの子会社にさかのぼることができる名門炭素関連企業。再編を経てドイツの化学メーカーの名門のヘキスト (Hoechst、現サノフィ)社傘下となるが、ヘキスト社がセラニーズ社と合併した際に、SGLカーボンとして分社化独立を果たす。
2017年に黒鉛電極事業とカソードブロック、炉内ライニング及び炭素電極製造事業を昭和電工と投資ファンドのトリトン・パートナーズに売却した。
SGLカーボンの黒鉛電極事業とカソードブロック事業は世界シェアでもトップクラスの位置にあった。
参照:
黒鉛電極業界の世界シェアと市場規模
カソードブロックの世界シェアと市場規模


事業構成
現在の売上構成は炭素繊維・コンポジット事業部(Composites –Fibers & Material、CFM)と黒鉛材料事業部(Graphite Materials & Systems、GMS)となる。
CFMでは、原材料のプレカッサー(precursor)、炭素繊維(carbon fibers)、炭素繊維織物(textile products)、PAN系の酸化繊維(oxidized fiver)、強化プラスチックであるプリプレグ(prepregs)、炭素繊維強化プラスチック(carbon fiber-reinforced plastics 、CFRP)を製造する。
炭素繊維業界の世界市場シェアでは、世界上位クラスを維持している。
参照:炭素繊維業界に関する世界シェアと市場規模と再編情報

2017年の売上高は約860百万ユーロ。内CFMが39%、GMSが61%となっている。
SGLカーボンの事業構成
出所:同社ホームページ


炭素繊維・コンポジット事業部の主な売上先としては、今後電気自動車化によって採用が進むと思われる自動車向けが約3割、既に日本の東レ等による納入が本格化している航空機向けが6%、今後のリニューアブル発電の中核である風力発電機器向けが約12%、繊維向けが30%、その他産業用途が約20%となっている。
プレカッサーは、ポルトガル工場と日本の三菱レイヨンとの合弁である大竹工場で製造。カーボンファイバーは英国と北米で製造。炭素繊維材料はドイツ、炭素繊維部品への加工はオーストリア、北米、ドイツ、イタリア等で行う。
自動車の部品としては、リーフスプリング、ルーフレール、リヤシェルフ等で使われる。自動車メーカーでは、フォルクスワーゲン、BMW、ボルボ、アウディ等へ納入を行っている。


GMSは、ヨーロッパ・アメリカではアスベスト代替材としても使われる天然黒鉛を材料としたガスケット材(気密性を高めるための固定用シール材)用の膨張黒鉛(Expanded Graphite)、Sic(シリコンカーバイド)コーティング材、リチウムイオン電池向けアノード(負極材)、微粒子グラファイト(fine‐grain graphite)、成形断熱材・フェルト、ボイラー等の黒鉛熱交換器、黒鉛製ポンプ等を製造する。
GMSのエンドユーザー向けの売上高の構成では、バッテリー関連が約19%、太陽光向けが10%、LED向けが4%、半導体向けが5%、輸送機向けが7%、化学向けが24%、産業材向けが31%となっている。SGLカーボンの炭素製品の売上構成
出所:同社ホームページ


黒鉛製品は、コークス粒、グラファイト粒とバインダーピッチを合成し、静水圧成、押出しなどの成形工程を経て、炭素化、黒鉛化を行い完成をする。材料の完成までの期間は約6か月程度の時間がかかる。
LED向けのSic(シリコンカーバイド)コーティング材では、同社の世界シェアは20%、リチウムイオン電池向けアノード(負極材)の市場シェアは20%、太陽光のシリコン単結晶製造向け電極では約15%と各商品ごとに非常に高い競争力を有している。


株主構成
株主は、今後の炭素繊維製品の自動車向けの用途拡大をにらみ、BMWとVWが大株主となっている。筆頭株主は、BMWを救済したヘルベルト・クヴァント氏の長女であるスザンネ・クラッテン氏の投資会社であるSKion社となっている。


参考情報
本ページを作成するにあたり以下の書籍を参考にしています。

よくわかる炭素繊維コンポジット入門 [単行本]

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の切削加工 [単行本]

原子力用炭素・黒鉛材料-基礎と応用- [単行本(ソフトカバー)]